題名 | レビュー | 星の数 |
スターリングラード | 第二次大戦を描こうという意思は全く感じられない(そもそも描こうとしたなら英語は話さない)「戦争を借りただけのドラマ」なのだが話自体は良くできている。どこまで実話か知らないがあまりに生暖かい人間ドラマにするならこれくらい単純だが非情なドラマなくらいのほうが出来がよく見えるのかもしれない。ライフル戦略戦にも繋がるが人物の心理を読むのが面白い。狙撃行為の残酷さと名スナイパーのかっこよさの描き分け方が巧 | ★★★★★ |
キャスト・アウェイ | 無人島サバイバルはさまざまな映画、漫画で描かれているので新鮮さは無い。ドラえもんののび太の漂流話にしても十五少年漂流記にしてもロビンソン・クルーソーにしてもみんな似たようなストーリーである。でも結局楽しめちゃうのがこの話なんだよな。これはそれよりも帰ってからのストーリーが主題か。もうちょっと深い人間ドラマでも良かったと思うがハッピーエンドじゃない点は評価。 | ★★★★★ |
ハート・オブ・ウーマン | 女性の心の中が分かってしまうという前半部のコメディ部分は面白かったが、後半ただのラブストーリーになってしまったのが残念。似たプロットが得意なジム・キャリー映画のように(多少下品でも)コメディでグイグイ押してくれたらもっと高評価なのに | ★★★★★ |
無問題 | う〜ん。こういう肩肘張らずに見れるラブコメは好きだなあ。この作品より下に位置づけたハリウッドの「名作」と呼ばれる作品の数々には変な奴でごめんなさいとしか言いようが無いけど好きなもんはしょうがない。別に岡村自体は特別好きでもないがこの内容なら主人公が芸人なのは正解だね。なかなか生きてました | ★★★★★ |
アナライズ・ミー | 普段の自分のイメージを逆手に取ったギャグが満載で、医者に向かって「Do I look like a guy who panics?」と凄んだり、逆にタクシードライバーの調子で「You're good」とやったり。とにかくデニーロを見ていればいるほど笑える。マフィア映画によくある「雰囲気で先の展開が読める」という空気や、マフィア映画の典型的展開も利用しているので、マフィア映画が好きな人ほど良いでしょう。 | ★★★★★ |
エニイ・ギブン・サンデー | 数々の実話エピソードを纏めスポーツビジネスをリアルに描いた作品で面白いのだがカットの組み方で思ったが結局映画の面白さの大部分はアメフトの面白さではないのか。QBがパスをしWRへ届くまでキャッチできるかインターセプトかという緊張感は中継を見ている感覚と同じ。スポーツに依存するスリルではなくもう少しスピーディーに中継では見れない映画ならではのフィールドに立っているかのような臨場感で攻めてほしかった | ★★★★★ |
ボーイズ・ドント・クライ | とにかく重い実話物ブラックドラマ。これはもう見た後で各々自分なりの結論を出す為のデバイスとして捕らえるべきでしょう。とにかく後味は悪いが、誘う女のような黒いだけのドラマではなく自分で考える余地を残している。ブラックサスペンスの理想系。ヒラリー・スワンクオスカー当然ですな | ★★★★★ |
トゥルーマン・ショー | 自分の人生は作り物のドラマだったという主人公の悲哀を描いた物語。実際自分の人生が作り物ではないと証明できる人間なんかは居ないのだから実に哲学的な話と言える。ジム・キャリーは名演。声だけでも演技できる俳優というのは良いですなあ。考えさせられるヒューマンドラマ | ★★★★★ |
ユー・ガット・メール | 日本ではさほどネットや携帯が普及していない時代の映画でユーガットメールの声に心を躍らせるメグ・ライアンにはロマンチックで微笑ましい物があったが今となってはEメールがリアルになったことで逆にリアリティが無くなってしまった。過去の名作を下敷きに、ラブロマンスの女帝ノーラ・エフロンが撮っただけに締りが良く後味はいいがあっさりしすぎな所に肩透かしを食う人も居るだろう。ともあれ忘れた頃にもう一度見たい良作 | ★★★★★ |
プライベート・ライアン | 星条旗から始まって星条旗で終わる戦争映画なんて撮って、スピルバーグはどうしたんだろう。それにしてもトム・ハンクスがやると戦争映画だろうが漂流映画だろうがギャング映画だろうが野球映画だろうがなんでも甘いヒューマンドラマになってしまう。十分に魅せる戦闘シーンだけで成り立ってる映画。うん良いよ戦闘シーンは。とりえずアパムは弾持って来い。 | ★★★★★ |
ライアー ライアー | 昔ドラえもんでありましたねえ「やっ、そっくり。親子じゃないかしら」ってヤツです。嘘も方便、弁護士ともなると尚更ですが、ジム・キャリーはこういう縛りコントやらせたら右に出るもの無し。好きな人はどうぞ。ところで嘘も方便社会の日本を舞台にしたほうが絶対面白いと思いますねコレ。三谷幸喜さんお願いしますよ。 | ★★★★★ |
ロスト・ワールド ジュラシック・パーク | 舞台を広げてしまったばかりに限られた範囲で恐竜に迫られるという緊迫感が薄れも逆に小ぢんまりして普通のパニック映画になってしまった印象。面白いのは間違いないが、ストーリーも前作の島から脱出を目指すバイオハザード的な怖さのほうが良いです。 | ★★★★★ |
ラヂオの時間 | 三谷のコメディは必然性の無い笑いのための笑いも多いのだが、これはテレビドラマの脚本を担当した時に次々と脚本を書き換えられたという自身の体験に基づいている。それをラヂオという限られた予算と、逆に大きな自由度を持つ媒体に舞台を移し脱線したら止まらないノンストップのドタバタ劇をシニカルにまとめ上げた風刺ドラマの傑作。時に下手を打つ三谷もこの作品ではいい所が出ており、独特のゆる〜い笑いも映えています | ★★★★★ |
フル・モンティ | イギリスの「労働者文化」が生んだストーリーと言えるか。これぞ傑作というまとまりこそ無いが「順番待ちダンス」やらしいフットボールジョークの数々など笑える小ネタは随所に散りばめられておりコメディとしては佳作。貧乏だがアホな仲間に囲まれて、フットボールと酒を楽しんで、日本の企業戦士より幸せそうに見えるのは気のせいか | ★★★★★ |
グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち | 才能は神からの授かりものだと考えるアメリカらしいサクセスストーリー。良い話ではあるけれど個人的には価値観のズレによる違和感が払拭できなかった。そういう点では、いかにも日本人的な価値観なのであろうが苦労や努力が絡むビューティフルマインドやルディのような話のほうが好きだな | ★★★★★ |
スリーパーズ | 殺しも含む復讐を許すのかどうかは問題になるが実話だったら仕方が無いか。神父のその後くらい描いてくれても良いと思うが。話自体は米新映画であり法廷であり人間ドラマであり犯罪サスペンスであり刑務所でありギャングでもありといい所取り様々な見方ができるし退屈しない。素晴らしい役者が揃いで何とかストーリー上の矛盾や釈然としない(実話にありがちな)消化不良感をフォローしている。人によっては評価の分かれる映画 | ★★★★★ |
マーズ・アタック! | 観客に感情移入させた役者であってもあっさりと消していく潔さが爽快。確かに火星人にとってはそれがアネットベニングだろうとマイケルフォックスだろうと大統領だろうと変わらないわけで、実際に侵略されればこうなるよなあと妙に納得。宇宙人侵略物は多々あるがこういう捉え方も自分の中ではアリだった。解決法はある日本映画へのオマージュなのだがくだらないと思っていたその話も今思えば結構いい線いってたなと少し見直した | ★★★★★ |
ミッション:インポッシブル | スパイ大作戦を見たことが無いので比較が出来ないのがアレだがスパイアクションの傑作と言えるでしょう。取り立てて絶賛する所もないですが欠点のないアクション映画だと思います。トム・クルーズらしく良くも悪くもまとまっている映画 | ★★★★★ |
ダイ・ハード3 | 人気シリーズ第3作だが原題にある復讐の名の通りストーリーが第一作の流れを受け継ぐものとなり、おざなりだった前作よりも力の入った力作とはなっているが、当作品の系譜を踏むスペクタクルアクションとして「スピード」という目玉が前年に公開され、もはや今更感が漂いその影に隠れる存在となってしまった。もちろん面白いが真面目な刑事モノ風と、作風が明らかに今までと違うためファンには入り込みにくい違和感がある | ★★★★★ |
カジノ | マフィア映画といえばファミリー全体を捉えた映画、一人ののし上がり話でもファミリーの中での位置を描いた(周りの人物も深く描いた)映画が多いがこれはデニーロとシャロン二人の関係がほとんど中心として作用している。名作グッドフェローズのスコセッシ・デニーロ・ジョーペシトリオが再び見られたのは良かったが、前者のようなマフィア映画が好きな自分にはどうも消化不良の映画であった。主人公の語りで進む型も食傷気味 | ★★★★★ |
クリムゾン・タイド | 一歩間違うとセガール系のトンデモ設定のアクションになりそうだが余計な蛇足はせずなんとか冷戦時代の戦争サスペンスにおさめた。アメリカ人が好きそうなマッチョ対インテリの典型的プロットで少し引いてしまい1点減点だが、面白さは折り紙付きで、潜水艦という閉鎖された空間の中で核戦争一歩手前の緊張感と内部の心理サスペンスを描いた傑作と言っていいだろう | ★★★★★ |
クイズ・ショウ | 元々番組が支持されたのはそれこそが大衆の求める物であったからであってヤラセ自体は問題とは思わないが、それより大きなテーマはテレビにとって数字は魔力であるということ。日本テレビのプロデューサーが数字を金で買っていたなどという事件が日本でもありましたがテレビの人間にとってはそれが全てであり、そのためにはどんな真面目一徹の人間ですら悪魔に魂を売ってしまうこともあるのだ、という様子がよく描けています | ★★★★★ |
パルプ・フィクション | 犯罪話のオムニバスかと思いきや時間軸をずらしながら見事に纏めた。タイトルで自ら認めるように下らない中身の無い犯罪映画だが、相変わらずのセリフの長さと多さを誇る主人公達の「駄弁り」で客を飽きさせない。聖書の言葉も便所の落書きと大して変わらんとでもいいたげな強烈な皮肉。人によっては嫌悪感を抱く映画であろうが、何も考えずに見ると楽しい。相手に撃たせてまた「奇跡」が起こるか試すようなラストも期待したが… | ★★★★★ |
アダムス・ファミリー2 | 特異な価値観を持つ家族の話なので、前作あまり無かった外部との接触を増やした今作は、前作よりも周りの反応など楽しめる要素が増えた。個性派揃いのキャストは前作と変わらないが、特にクリスティーナ・リッチの演技が前作より良くなっていて子役と思えぬ名演だった。1より2のほうが面白いというのは珍しい事例。ブラックなのは変わらないが、見る人を選んだ前作と違い、今作は普通にエンターテイメントコメディ映画。 | ★★★★★ |
めぐり逢えたら | さすがに作中で他のラブロマンス映画を異常なほどリスペクトするほどのラブロマンスマニアだけありすっきりと纏まった当たり障りの無いラブロマンス。メグライアンが浮気ストーカーなこともチビが性悪になるほど入れ込んでたことも運命の一言で片付けてしまう強引さが素敵だ。面白かろうとつまらなかろうと少なくとも気分を害することはないので、こういうデートで何を見ればいいのか迷ったカップルに鉄板の映画もあっていい。 | ★★★★★ |
エイリアン3 | パニックアクションの完成形的作品だった前作からは一転、再びSFに。シリーズの中では最もSF臭さがあり破綻が少なく納得して見られる。一連のシリーズの完結編としてかなり良好な作品。せっかく綺麗に収まったというのに、4は無かったことにしたほうがいいのではないか… | ★★★★★ |
ザ・プレイヤー | ハリウッドの内情をサスペンス風味の「映画」を通しながらシニカルに描く少し変わった映画。その信憑性はあまりにも豪華なカメオ出演の人々の数々が裏づけしてくれるが、ストーリーに凝りすぎてややこしかったり、あまりにもシニカルすぎたりと少し退屈する部分があるのは減点か。面白いんだけど評価が難しい作品だね | ★★★★★ |
許されざる者 | よくこれまでのヒロイズムに頼らないイーストウッドによる西部劇総括と評される作品だが今までの西部劇と大して変わる物でもない。そう捉えられるのは全く変わらないからこそ。変わったのは世間のヒロイズムである。彼はそれをわかっていながら敢えてこれまでと同じ映画にしたのだ。世間はこれまでのように迎合するのではなく考える。答えは出ない。そしてそこで幕を引いた。そして先人達にそれを捧げた。実に巧みな総括である | ★★★★★ |
ケープ・フィアー | さすがヒッチコックを崇拝するスコセッシだけあり古風ミステリーサスペンスの力作。そしてパートナーデニーロ、通常狂気の犯人役なんてただそれだけで終わってしまうのに、彼の狂気犯人は本当は狂気ではないように見えてなおかつ狂気だから凄い。多くの観客は最後まで彼の良心を信じていたのでは…いつもの奇を衒いすぎてオスカーを取れそうで取れない作品より、地でいけるこのような作品のほうがスコセッシには合っていますね | ★★★★★ |
バックドラフト | パニックアクションの先駆けであるポセイドンアドベンチャー、水と火という全く相反する題材だがそれと同類の出来のよさ。数々の映画が狙って失敗していった二匹目の鰌を見事に釣り上げ、そしてそれだけに終わらないよく出来たサスペンスの伏線とサイドストーリー。名作ではないが映画の教科書のような傑作である。デニーロいいね〜 | ★★★★★ |
羊たちの沈黙 | リングとか日本のホラーが新しいタイプのホラーだと注目を集めたのも納得というか、「恐怖」の演出を昆虫のグロさや犬の泣き声、悲鳴、暗闇に頼ってる感じで今ひとつ前代的なやり方と感じた。日本のホラーとは怖さの方向性が違いますね。役者達の名演もあってストーリー自体は楽しめたがこれだけ何処行っても評価の高い映画で『「ホラー」部分は全くの駄作』と思ったくらいなので、やっぱりホラーは合わないんだなあと実感。 | ★★★★★ |
プリティ・ウーマン | いわゆるシンデレラストーリーの現代版。後のラブコメには悉くこの映画の影響が見られる経典映画なのでもっと古い映画かと思ったら結構新しかった。日本人からしたら、いかにもな80'sアメリカに触れられる作品。それが好きか嫌いかは分かれる所。言ってみればファッションみたいな映画。挿入歌はあまりにも有名。ジュリア・ロバーツ、写真で見たら美人と思うどころかちょっとキツイくらいなのになぜ動くとこんなに魅力的なんだろ | ★★★★★ |
ニュー・シネマ・パラダイス | 映画が民衆にとって娯楽の王様だった時代から次第にテレビ他に移り変わっていく時代の流れを、昔ながらの親父のような近所のおじさんと悪ガキの人間ドラマを交えて描く。過去の大作やスターが所々に登場するのは映画ファンにはうれしい。完全版で見たので長すぎて完成度がイマイチだったがこち亀風味(実際かつての映画館に纏わる似たような話は取り上げている)の良いノスタルジックムービーだった。これから見る人はオリジナルを | ★★★★★ |
レインマン | 言うまでもなくダスティン・ホフマンがすごい作品。その怪演っぷりはドキュメンタリーと言われても分からないほど。見る価値は間違いなくあるが、個人的にはとにかくイライラさせられた。それを作品の出来の良さと取るか、苦痛と取るかは評価の分かれる所だろう。 | ★★★★★ |
ウォール街 | オリバー・ストーンもスカーフェイスがベースと言っていたが、成り上がるにつれて華やかになっていく生活と、表裏一体の転落を描く証券マンを現代のギャングに喩えたクライムムービー。その後の金融街の黒さはご存知の通り。今日もウォールストリートで金融界に対してデモなんてニュースが流れていたが、時代を20年先取りした映画であったということだ。現代のマフィアはホワイトカラーにネクタイとはよく言ったものである | ★★★★★ |
アンタッチャブル | 裏社会の大巨人アル・カポネ摘発を目指すという映画。次々に暗殺の手を伸ばしてくるマフィアから逃げながらドンパチやる普通のギャング映画だが、史実が元であることもあり楽しめた。裁判シーンの迫力ときたら… | ★★★★★ |
麻雀放浪記 | ギャンブル映画ってえと対マフィアのイカサマ合戦でバレると首や小指が飛ぶっていうのが決まりだが、これは似たような構図でもイカサマも勝つための手段の一つ、というよりもそれもゲームのうち、すべて含めた個人対個人の勝負の話になってるのが凄い。しばらくギャンブルは離れていたが見ていると血が騒いでしまうが男の性。おっかさん、こんなんで血が騒ぐ男に育ってしまってすんません | ★★★★★ |
アマデウス | 確かに彼は堕落した人間であるようだが、音楽という現在でも直に触れられる作品が残っている以上、その天才ぶりは疑い様が無い。本当に彼の残した作品は凄い。モーツァルトの有名作品の見せ場を繋ぎながら、彼の華やかでありつつ闇にも満ちた波乱万丈の人生を描いた映画は、さながらそれ自体が一つのオペラのよう。 | ★★★★★ |
ターミネーター | ボディビル世界王者という異色の経歴を持つ主演男優、SF、低予算、本来B級映画であったはずのこの映画がここまでの作品に仕上がった。キャメロンとシュワルツェネッガーのその後の成功も当然で、賞賛に値する。破綻しかけていても作り手に一貫したポリシーがあればどうにでもなるという例。あまりにしつこいターミネーターと、あからさまなピンチの演出にイラっとくることもあるが、これだけ一貫してると単にホラー的と納得できる | ★★★★★ |
楢山節考 | 姨捨山伝説をモチーフに、人間が最も自然動物に近い状況を描いた衝撃作。映画としては見る人を選ぶが観念的作品としてはとにかく傑作。次から次へと打ち破られるタブーの数々にはシニカルな笑いすら湧き上る。日本人でもこれだけの衝撃を受けるのだ。キリスト教社会ではそれ以上の衝撃だろう。そりゃカンヌ取るわ。 | ★★★★★ |
ドラえもん のび太の大魔境 | 衛星からも観察できない神秘の魔境「ヘビースモーカーズフォレスト」にある独自の進化を遂げた犬の王国という、らしいSF設定。特にラストのオチなど見事な独創性である。海外では観客が理解するまで反応が遅かったというバックトゥザフューチャーが無条件で日本人に受け入れられたのはアトムやこのアニメによる下地があったからではないかとさえ思わせられる。アニメがインディジョーンズやってくれるんだから日本の子供は幸せだ | ★★★★★ |
トッツィー | 単発ネタモノのコメディなので特に掘り下げてレビューすることはない。イメージで生きる役者の世界を皮肉った作品ではあるがそれも上っ面。よく出来たコメディなのでとにかく単発で見て軽く笑って終わるのが良し。あんまり深く考えすぎて自らも女装に走るなんてことは無いように… | ★★★★★ |
E.T. | 地球に取り残された宇宙人を「子育て」する映画。題材が宇宙人でなければ赤ん坊が言葉を覚えたりしていく過程を描いたような映画で華の無い脚本。こういう地味な話を、光の使い方を駆使した映像で壮大なファンタジーのように見せてしまう「光の魔術師」スピルバーグの技量とアカデミー賞も受賞したジョン・ウィリアムズの音楽は見事である。 | ★★★★★ |
レイジング・ブル | あまりにも短気で不器用で力に翻弄され幸せだと感じようと思えば感じられる状況にいるのにそれに気づくことが出来ず、というより自ら拒否し道を外してゆく。極悪人では無いが必要以上に咎められることにより人間不信の極地に陥り周囲と溝を深めてゆく悪循環。タクシードライバーよりも同情を集めることの出来る題材でまたエンターテイメント性も優れていて同種映画では最高峰に挙げられる | ★★★★★ |
エレファント・マン | だいぶ脚色もあるのかなと思いきや、かなり自伝に忠実なようで、容姿に関してもリアルのようで驚き。現代産業社会の夜明けであった19世紀末の大英帝国を舞台に、個人の尊厳と人の善意、現代の「社会性」をテーマにした深く考えさせられ、そしてとにかく興味深い内容。シリアスな題材の割にくどい心理描写は少なく、あっさりと描かれみやすい。佳作 | ★★★★★ |
アルカトラズからの脱出 | 脱走不可能と言われ、通算脱走者0という孤島の刑務所アルカトラズ刑務所からの脱走を目指す人々を描いた実話が元のドラマ。映画の限りではあまりにもうまくいきすぎたようで、大脱走のような山あり谷ありのドラマではない。舞台も警備が厳重な以外はよくある普通の刑務所で、欠点がある映画ではないが特に高く評価する点も無い地味な映画である。まあ面白いことは面白い | ★★★★★ |
エイリアン | ジョーズやスターウォーズなどの影響がアリアリと、当時の流行に乗ったとも言えるが全く二番煎じに終わらない意欲作。洗練されたデザインと、全て見せないことでアンソロジーの生まれる余地を残した展開。マニアックさとキャッチーさのバランス感覚が抜群。細胞レベルで鳥肌モノです | ★★★★★ |
狼たちの午後 | 次第に犯人に同情的になっていく人質達や犯人を熱狂的に支持する野次馬達がいかにも権力に卑屈に反発するこの頃の低俗な社会イデオロギーを醸し出す実話に基づいた映画。この事件では犯人の片方を強行に射殺、片方には重刑が課せられた。この強行さはよど号事件を成功させ日本人拉致事件の足場を作ったり浅間山荘事件で犯人を生かしたばかりに超法規的措置を許し日赤テロに結果として加担した日本警察も見習うべきところがある | ★★★★★ |
博士の異常な愛情 または私は如何にして ・・ | 圧倒的な力同士が対峙した冷戦構造でさえただ一人の正気を失った人間の暴走で無残に崩れ去るという結末を痛烈な皮肉をこめて描いた。命令する側、される側の誰もが不審に思いながら止める事ができない権力の誤作用。あまりに正直なオチが付いていることはともかくとしてこの手の警鐘映画は事件が去ってしまうと虚無なプロパガンダ映画となりがちだが本作は警鐘映画には留まらない独特のオカシサがある。 | ★★★★★ |
奇跡の人 | サリヴァン先生によるヘレンケラー教育を描いた映画。パティ・デュークの熱演は驚愕の域にあり、ドキュメンタリーとすら思えるリアリティがある。子供時代の教育風景だけではエンターテイメント性もドキュメント性もどっちつかずで、その後のヘレンの活動とかも描いてほしかったので高得点はつけないが見て損は無い。先月同作品でアカデミー主演女優賞を獲得したアン・バンクロフトが亡くなりました。ご冥福をお祈りいたします | ★★★★★ |