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CROSS WIZARDZさん
ブロンズレビュア
Update:2009/6/19
得票数:18
プロフィール:
CROSS WIZARDZさんに一票!
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題名レビュー星の数
スリーパーズ中々パンチのあるストーリー。ベーコンの悪役ぶりが強烈だが、ホフマンやデ・ニーロといったところの芸達者たちは、それ程のインパクトを発していない。有名俳優をここまで連ねる程の風格は、この映画には無い。ただ、レビンソンらしいこじんまりとしながらもまとまりのある世界観は娯楽映画として悪くないと思う。★★★★
ザ・ファン悪くない映画だと思う。それは、ひとえにデ・ニーロの存在感ゆえなのだが。うだつの上がらないサラリーマンが、その鬱積したものを内心に収めきれずに、やがて爆発するという今日的に言えば「キレる」という一言で片付けられてしまう過程を、実に丁寧に演じている。それは、ちょっとした表情の変化だったり、口調の変化だったりの地味な積み重ね。無論、大胆に行くべき所は、オーバーアクトで押している。このメリハリが役者力。★★★★
インデペンデンス・デイまず我々が理解しなければならないのは、ハリウッド産映画が視点の出来る限りのEqualityを自らの命題として掲げているとしても、それは決してResponsibilityではないとうこと。極東の小さな島国の民のためにEqualityを追求することに何の映画的な意味があるというのか。我々は自覚すべきだろう。圧倒的なマイノリティであると言う事を。日本映画が日本人の主人公で万歳しているのと同様にハリウッド映画は米国を賛美して然るべき★★★★
ニック・オブ・タイム90分の出来事を90の尺で呈示するというところの緊迫感が中々秀逸なのだが、それ以上に、バダムのアナクロ的な画作りがヒッチコックを彷彿とさせ視覚的に楽しめる。例えば、「北北西に・・」の国連ビルからの逃走シーンを想起させる大俯瞰への視点移動。或いは、主観ショットのリアリズム。悪役ウォーケンも頗る良い。「軽快さ」と「ねちっこさ」を兼備した悪役造型の面白さ。★★★★
あなたが寝てる間に…並みのレベルの女優ならば決して支えられないであろうベタな話を、当時乗りに乗っているサンドラがその勢いだけで屋台骨を支えてみせた作品。恐らく今のサンドラでもこのレベルの話は支えられないだろう。スター女優の人気がマックス達した、その瞬間にしか成立しえない恐ろしいほどにタイミングに依存した映画。だからこそに、時代を感じれる作品でもある。★★★★
コピーキャットこれは完全にホリー・ハンターの映画。シガニーに演技力の差をまざまざと見せつけている。あのイントネーションは麻薬的な魅力に満ち溢れている。シガニーも下手ではないが、如何せん守備範囲が狭すぎる。★★★★
未来は今スクリューボールコメディとしてこれだけの疾走感を捻出できたらそれだけで良いと思う。コーエンらしい劇画調の登場人物が肌に合わないと終始蚊帳の外かもしれないけれど、そういう排他性もまた悪くない。初見時はその独特の「あく」についていけなかったのだが、コーエン作品を一通り観ると、本作のキャラクター造型の彼ら「らしさ」が無性に嬉しくなる。★★★★
クリフハンガー ★★★★
ペリカン文書国家権力対女子大生という完全なる負け試合を設定し、それでも追及する正義の崇高さを炙り出す。この辺の図式はグリシャムの得意とする所で、若干の予定調和を胚胎しながらも正義の逆転勝利を演出する。暗殺者との追いかけっこもグリシャム物には欠かせない展開でそんな所で死ぬはずが無いと分かっていても一定の緊張感は喚起する。大風呂敷を広げておいて小さくまとめるというお馴染みのパターンだがそれなりには楽しめる。★★★★
リーサル・ウェポン3こういう派手なアクションをメインに据える作品は多々あるけれど、家族付き合いのような温かみを決して失わないところに本作の素晴らしさがあると思う。レネ・ルッソも単なる華添えレベルではなく、キッチリ機能的に配されている。★★★★
ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期 ・・恐らくリンチが考えていた以上に肥大したのであろう「ツイン・ピークス」という名の悪魔に、自ら落とし前をつけた作品。シリーズで縦横無尽に伸びたストーリーの枝を刈り込むことはせず、ここでもリンチは真相は闇の中を決め込む。独特の生気の薄い登場人物と、唐突に盛り込まれるズレたギャグ。それらを恐ろしいまでに張り詰めたリンチの空気感が包み込む。雰囲気だけの映画だけれど、この雰囲気が唯一無二なのだ。★★★★
ゆりかごを揺らす手レベッカ・デモーネイの悪役造型は作品を養うに相応しい出来だ。単なる復讐に勤しむ女性で終わらず、きっちり、母性を漂わせる事で、一抹のシンパシーを生んでいる。ただ、後半になるにつれて物理的サスペンスに成り下がる。オーラの無いジュリアン・ムーアが、今日的には新鮮だ。★★★★
ゴースト ニューヨークの幻ろくろ、Unchained Melody、デミのショートカット。この3本のホームランに加えて、ウーピーが猛打賞。これならば、防御率5点台のザッカーでも悠々完投勝利だ。荒れた試合という感じもするこの映画だが(特にサスペンス的な展開に粗さを感じる)、90年に作られた作品の割りには、古き良きハリウッド映画のような風格を感じさせる。また、完璧な二枚目ではなく、スウェイジを持ってきたのもこの甘すぎるストーリーには丁度良い。★★★★
リーサル・ウェポン2 炎の約束普通の事をやたら大げさに言う人がたまにいるが、本作はまさしくそんなタイプ。とにかくアクションのひとつひとつが、やたらに大げさだ。一作目同様の飛び降り(今回はプールへ)、ヘリでの襲撃、家まるまる破壊(しかも物凄い壊し方)などなど、全てが度肝を抜かれるスケール感。参りました。ペシが入って一層作品が表情豊かになったと思う。★★★★
フランティックハリウッドに戻れないポランスキーが、当時のハリウッドの象徴のようなハリソンを、あえて異国人として描いたところに彼らしい反骨精神を見た。屋根のシーンの傾斜感や円環を成すラストは流石。娯楽映画としては動感が弱く、かといってポランスキーらしい芸術性も希薄という、幾分中途半端な匂いを漂わせる本作ではあるが、その中途半端感が独特の不安感に繋がり、異国で予期せぬ陰謀に巻き込まれるという蓋然性を高めている。★★★★
レインマンホフマンは物凄く好きな役者だし、文句なしに巧いと思うが、本作のホフマンはお世辞にも良いとは言えない。結論から言えば、本作に限ればトム・クルーズの方が良い。ただ、それはとりもなおさずチャーリーの方が演じやすいからなのだが。最近になりようやく本作のホフマンの演技は過剰でトムの方が評価されだしてきたが、私もその評価に同調したい。叫んだり奇声を上げたりする際のホフマンの演技が余りにobviousだ。★★★★
ハスラー2あの緞帳を落すタイミング。完全にスコセイジは、あのラストから逆算して本作を撮っている。だからこそ、彼の映画は一筋縄ではいかないのだ。ショットの際のカット割が可也凝っている。取り分け、ニューマンのファーストショットの細かいカット割り。普通に撮りたくないというスコセイジの主義主張が感じられるシーンだ。ニューマンがトムに勝利してテラスでガッツポーズするシーンに、「ナイーブ」な男の「内部」を見た。★★★★
トップガン86年、86年。86年以外にあり得ない空気感。それにしてもモロダー節が炸裂。3分の1位はミュージッククリップになっている。音楽、それも時代を捉えたポップソングが映画に欠かせないと言う事を知らしめたという意味で本作は画期的だし、良くも悪くもその後の映画の進むべき道を示した作品。トムのワンマン映画のように見えて、実はヴァル・キルマーを魅力的に映し出す事に終始しているのがトニーらしい作劇のバランス感。★★★★
蜘蛛女のキス前半の閉鎖的空間における男二人の価値観のぶつかり合い。そこから融和へ向かう様の湖面の如くの流麗さ。対象的に後半は、房から解き放たれたモリーナの恐ろしいまでの自由感。場面場面が実に的確な空気感と共に描かれている。男同士の距離感は、時として嫌悪感すれすれのところまで肉薄するのだが、それさえも抗い難い感情の通過駅であるかのような必然性を享受している。★★★★
恋におちて何の変哲も無い話を、デ・ニーロとメリル・ストリープが、まさに「役者力」だけで見応えある物語へと変貌させた作品。カイテル、ダイアン・ウィーストといった脇役も充実。出会いのシーンにおける「偶然」の表現が実に丁寧でナチュラルな風合いを保ちながらも、映画的な誇張を感じさせるインパクトは損なっていない。ただ、役者の映画にありがちな演技過剰のシーンも散見される。★★★★
カメレオンマンアイデアという点では、紛れも無く突出しているし、ドキュメンタリーの客観性、或いは、報道表現のリアリティといったものを皮肉る風刺性という点でも傑出していると思う。しかしながら、会話に乏しいアレン作品はどうしても個人的嗜好に合わない。アレンは喋りで勝負するべきだし、それこそチャップリンのような「動き」で観客を魅了する具象性は持ち合わせていないように思う。「毒」を映すのではなく、「毒」を吐くべきだ。★★★★
白いドレスの女「果たしてどれくらいのレビューが集まるのか」といういらぬ心配までしてしまう程に地味な今作。一言で言えば悪女物語。二言で言おうとすると言葉が浮かばないという程に単純な作品。無論その単純さが魅力でもある。殺人がばれるか否かの緊張感と、K・ターナーの素性の怪しさで引っ張る展開なのだが、正直それほど盛り上がらない。やはり悪女か否かの二択では厳しいか。展開の危うさよりもW・ハートの髪の危うさが気になる作品。★★★★
クレイマー、クレイマー紛ごうことなき子への愛情がぶつかり合い、作り上げられる罵詈雑言。悪婦破家と一刀両断にできるほど今作のプロットは甘くない。すれ違いが生んだ相互正義の危うい関係。もはや善悪の定義は意味を成さない。共に余りある愛情のはけ口を欲して、求める鎹でありえなくなった愛すべき子。父親にも母親にも心行くまで真情を吐露させて判断を観客に委ねた、フェミニズム香る構成が秀逸。★★★★
グッバイガール個人的には、もっと喋りまくる、それこそ舞台劇のような会話の濃密さを期待していたので、脚本レベルでストーリーを追い過ぎているような印象を受けた。無論、それゆえの映画なのだろうが。ただ、ポイント、ポイントで二人の会話が素晴らしき流麗さを保ちながらculminateする瞬間があり、それだけでも十分に作品としての存在意義を維持していると思う。★★★★
キャリーこのデ・パルマはどうだろう。確かに、パンフォーカスによる縦の構図、クレーンによる大胆な俯瞰、分割画面など、デ・パルマらしい映像は山積みなのだが、どうも、ストーリーを凌駕し切れてない。本来はそれがベストな力関係なのかもしれないが、デ・パルマならば、ストーリーの腰を折る位に映像で遊んで欲しい。カメラが、踊る二人の周りを不快な位まで速度を上げて回るシーンが一番悪趣味的でデ・パルマらしい。★★★★
M★A★S★H滅法面白いが、その面白さの背後にある痛切な風刺もまた恐ろしい位に的確だ。1970年という年に、戦争をここまで皮肉るアルトマンの勇気と気概。不謹慎の一歩手前で辛うじて踏ん張りながらも、時に踏ん張りが利かなくなって一線を越えてしまうところのシュールレアリスムが本作の白眉。グールド、サザーランドのコンビも秀逸だが、個人的には、憎らしさから最後は可哀相になる位までの哀愁を表出させたR・デュバルが印象深い。★★★★
ガソリンスタンド炎上のシークエンスに挿入された大俯瞰ショットへの驚愕の視点移動。鳥の視点というよりも、何処か、それをも超越した神の視点を具現したようにも見えるこの映像力の凄さが本作の白眉。ジャングルジムでの、徐々に鳥が増えて行く粘着系の恐怖感や、ラストの終末的な造型の不安感は圧倒的に孤高だ。★★★★
荒野の七人あのバーンスタインの高揚感に満ちた音楽。あれだけで十分の作品。原作を共にするという事での比較検討は映画としては無意味。それは、監督によって掘り下げる所が違うからだ。スタージェスは役者のアンサンブルで魅せる監督。ブロンソンの果てる際の感傷性の表現や、二番手マックィーンの自由奔放さの表現はやはり大したものだと思う。恋愛描写の拙さは、相変わらずだが、悪役ウォラックの造型の深さは流石。★★★★
ハリーの災難恐ろしい程に人間の真実に迫りながらも、決して衒学的でないところにヒッチコックの凄さがある。何か起きそうで起きない肩透かしであったり、ドサクサ紛れの恋愛であったり、或いは、死体をおもちゃのように次々移動させる描写であったり。並みの監督ならば、何か説明的カットによる蛇足を加えがちなところだが、ヒッチは能天気な空気感そのままに自由奔放にストーリーテリングしている。これこそ真のリアリズムだと思う。★★★★
マルタの鷹漆黒の闇のように美しく冷徹なモノクロ映像、怪奇映画を思わせる不穏なムード、時折かんしゃくの如く表出するシンボリックなバイオレンス、そしてそれらを見つめる物悲し気なカメラの視線。私立探偵という少々如何わしい輩のエネルギッシュな日常を活写した本作は、激しくも悲しい情念に満ちている。ヒューストンもボギーも手探りだが、その可能性を感じさせる不安感こそノワールというジャンルの幕開けなのだ。★★★★
トロイO・ブルームが良い。あの「ロード・オブ・」の面白味に欠ける役柄より断然良い。醜態を晒す中盤は、まさしく彼の独壇場だ。あの辺りが最高に輝いている。一番面白くないのがE・バナ。あの平板な役はちょっと気の毒だ。役者としての器量とは無関係に、物語だけで完結してしまっている。P・オトゥールも面白くない。全く人間味の無い、置き物のような無味乾燥ぶり。本作においては、やはり、S・バロウズ、S・ビーン辺りがベスト。★★★
イン・ザ・カット ★★★
レジェンド・オブ・メキシコ デスペラードデップとバンデラスが「ヒート」のようなレベルでしか絡まないのも驚きだが、サルマ・ハエックの出演時間の短さはそれをも凌ぐ驚きだ。主要と思われた三人がばらばらなのが物語の収束を失った要因。残念ながら、デフォーも生かしきれてない。そもそも、ロドリゲスにしては、大統領暗殺だの麻薬カルテルだの設定がややこしいし、説明過多だ。★★★
コンフェッション劇画調の画作りはコーエン風、ポイントでの粒子の粗い映像や色分け等、映像処理はソダーバーグ風といったところか。トイレでの俯瞰はデ・パルマっぽくもある。いずれにせよ、映像は物凄く凝られている。しかしながら、物語とかけ離れた美しいだけの画、凝っただけの構図を幾ら羅列しても映画的な「うねり」を生み出すには至らず、器用貧乏の感も否めない。それでも処女作の完成度としては及第点。★★★
ストーカーキューブリックを彷彿とさせるシンメトリックな構図、冷たい光に照らしだされるその空間は、制度化されたものに潜む狂気性をシンボリックに表出。日常という外枠を固辞した上での狂気を、カメラは善悪を判断しない冷徹な視線で追っていく。故に、R・ウィリアムズがキャリアで作り上げた「いい人」というイメージの残り香が不可欠。意味深な冒頭と腰砕けのラストが生み出す乖離こそが本作のリアリズムであり、消化不良の所以。★★★
リベリオンこれは感情の映画。無感情な社会主義と感情有する民主主義のコントラストを演出しているようにも映る。ガンカタは、「ガン過多」という皮肉も感じさせるが、結局は、銃の的確性と刀の早業の融合。それは、とりもなおさず、西洋と東洋の融合だ。べアールが「善」に染まる過程において、「禅」を感じさせるカットが盛り込まれているのも感情を描く映画らしい構成。リベリオン、それはマトリックスへの明確なる反逆者。★★★
ボウリング・フォー・コロンバイン対極にある正論との勝負を避け、綻びの見えるところとばかり勝負するムーアは、当然の如く勝ちゲームをものにする訳だけれども釈然としないは、その相手が金や権力を有しながらも、ちょっと踏み込まれるとすぐに引いてしまう論駁精神に欠ける相手だからだ。知性において丸腰のヘストンに、さも弱者のような顔をして戦いに挑むムーアの狡猾さよりも、不器用に有りのままをさらけ出してしまったヘストンの「人間臭さ」が愛しい。★★★
インソムニアビックリ箱ですと言われて、中身空っぽだったら当然不満なわけだが、ノーラン側に言わせればビックリ箱などとは一度も言っていないと反論したくなるだろうし、或いは重厚なヒューマンドラマを描いたんだと反論するかもしれない、しかし、我々の前には「メメント」があるわけで、ミステリーっぽいストーリーから推察すれば、当然映画ファンはビックリ箱を期待するだろう。その期待に応えられない時点でノーランの負け。★★★
ディナーラッシュレストランに生きる人達のエネルギッシュな日常を活写した群像劇風ドラマ。後半のシリアスに収束していく展開は悪くないが、彼等集団によって映画が弾けるといったダイナミズムは感じられなかった。求心力に欠ける「喧騒」は、どうしても「散漫」止まりになってしまう。演出や画も端正すぎる。もう少し匂い立つような泥臭いテンションが欲しい。★★★
サウンド・オブ・サイレンス話は至って平凡だけれど、悪役ショーン・ビーンが素晴らしい。個人的にはイギリス訛は苦手だし、正直ダサいような印象を持っていたのだけれど、このショーン・ビーンは別格。あの電話でのやり取りは間違い無く本作の白眉。悪役ファンには堪らない映画だ。ただ、ブリタニー・マーフィ絡みのシーンが尺を取るため、案外登場シーンは少ない。そこが、なんとも残念なところだ。★★★
光の旅人 K-PAXプロートは精神病棟、或いは、更に広げて現代社会のトリックスターであるかのような具象性を感じさせるが、本作の物語の真なる魅力は、宇宙人か否かの二択、引いては、この映画のリアリズムがどの辺りに立脚するのか、果たして宇宙人をも許容するリアリズムを描いているのか、そういったところ存すると思う。ただ、サスペンスとしてもドラマとしても煮え切らない印象は拭えない。エンドロール後のワンカットが余韻深くていい。★★★
ギャング・オブ・ニューヨークよくロックバンドが売れ出し、紅白などに出場し世間の幅広い認知を受けた後、オーケストラと共演してより荘厳で高級感溢れる音楽を提供する時がある。なるほどスケールの大きい音楽だが、果たしてロックなのか、引いてはこのロックバンドがすべき事なのか。本作のスコセッシにはそんな疑問が付きまとう。テーマ性や映像の素晴らしい奥行きには目を見張るが、果たしてスコセッシのすべき事なのか。★★★
ヒューマンネイチュアネタの根幹は大した事ないのだけれど、カウフマンらしい視点で掘り下げていくと、それ相応の広がりは見せる。ただこれは、やはり役者の映画ではないかな。それもリス・アイファンズの力量に負うところが大きいように思う。あの似非紳士風のイギリス訛が、役どころに実にフィットしている。ティム・ロビンスもらしい演技で悪くない。★★★
アメリカン・スウィートハート恐らくジュリア・ロバーツは、「ノッティングヒルの恋人」を撮っていた際、ヒュー・グラントの役どころに嫉妬していたのだろう。確かに、スクリーンの中では時として「日陰」の方が日当たりが良い場合がある。「ノッティングヒル・・」しかり、本作しかりだ。ただ、あまりのその狙いが露骨すぎて、興ざめしないでもない。付き人ジュリア・ロバーツ。幾らなんでも無理がある。スタンリー・トゥッチがここでも抜群の嫌味を表出。★★★
小説家を見つけたらおよそ共通点などありそうに無い白人老人と黒人少年をメインに据える事により、「そこには友情しかないだろう」と問いかける。しかしながら、友情とは、対等な立場で初めて生まれるもの。彼らはどう見ても師弟関係であり、友情とは似て非なる関係。故に、助けるという行為に哀れみが感じられる。この安っぽい友情関係の下、黒人少年の不遇ストーリーが絡むという展開。良い話ではあるが、そこに深みは無い。★★★
プルーフ・オブ・ライフ人質交渉時は中々だが、救出作戦へ突入してからは、普通のアクション映画。個人的には、人質モースのストーリーも画面に載せたのはどうかと思う。人質の状況が見えすぎていていると、どうにも人質交渉の緊迫感が薄れてしまうからだ。しかも、その描き方が「モースなら、何とかなりそうだな」という類のものなので、なおたちが悪い。笑う事を許されなかったメグの不発弾のような演技も、今作に大きな影を落とした。★★★
ナインスゲートポランスキーらしい構図取りは堪能できるが、物語のテンションが持続しない。前半は良い。画面のクラシカルな色調が本の神秘性吸引力と相まって、フィルム・ノワールのような風格を感じさせる。ただ、お使い的展開の様相が色濃くなると、途端に物語が弛緩する。やはり、ループのような展開だと観る方にも飽きがくる。デップは良い。こういう劇画調の雰囲気を匂わせる造型はバートン作品で取った杵柄。★★★
クッキー・フォーチュン本来、フィルムに「クソじじい」的反骨精神が表出しているのがアルトマン作品の魅力なのだけれど、本作は、柔和な「おじいちゃん」的アルトマンで、それこそ、リヴ・タイラーに見て取れるコマーシャリズムなどを取ってみても、どうも「らしくない」作品だ。グレン・クローズ、ジュリアン・ムーアは言わずもがなに素晴らしいのだが、本作においてはチャールズ・S・ダットンの醸し出すゆったりとした空気感が白眉。★★★
スリーピー・ホロウなんの変哲も無い物語をバートンらしいケレンミで料理するとここまであくの強い作品になるというのは流石だけれど、こういう趣向の凝った世界観を堪能する気が無いと、結局プレーンなストーリーの物足りなさが沁みてしまう。劇画調の造型はバートン作品常連のデップにとっては普通にこなせるものではないだろうか。それよりも、クリストファー・ウォーケンの存在感が流石。★★★
セントラル・ステーション ★★★

Fayreal

Cinema Review Ver 3.0
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