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CROSS WIZARDZさん
ブロンズレビュア
Update:2009/6/19
得票数:18
プロフィール:
CROSS WIZARDZさんに一票!
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題名レビュー星の数
フェイク寸善尺魔のマフィア世界に潜入し、初めて遭遇する不器用な善。悪の中の善という究極の矛盾を抱え込んでなお明鏡止水の如くあろうとする男の心理描写が秀逸。捜査という人間社会が作り上げたある種のルール、その大義名分により他人を騙すことが正当化される。その人間社会が何百年とかかって作り上げた通念にレフティの最期の言葉が揺さぶりをかける。端にも棒にもかからない落ちこぼれのギャング、されど人としての正道を歩む。★★★★★★
ガタカ無機と有機が恋愛未満で同居するようなスリリングな空気感に満ち溢れている。抑圧や迷いに対する前向きな内なる声の発露を、抽象アートのようなよそよそしさでフィルムに焼きつけるシュールレアリスム。映像のスタイリッシュさや構図の端正さが、この恐ろしいまでの冷静な展開が醸し出すある種の古めかしいテーマ性を補ってあまりある魅力的なものにしている。あまりに切ない最後の瞬間、人間のすべてが愛しくなる。★★★★★★
CUBE虚飾を剥ぎ取った人間の生々しいまでの姿を、戦場であったり沈没船であったりの「ぐちゃぐちゃ」な濃密な有機的空間で呈示する手法はそれまでにもあったが、それを整然としたある種の「数学的」な無機の匂いがする空間で呈示するのが新しい。立方体と数学の無機性と人間の極限状況下における悲喜交々の有機性を渇いた映像の中に封じ込めた圧倒的ニヒリズムにこの映画の真実を見た。★★★★★★
フェイス/オフ難しい理論の説明を受けている際、時折説明が難しい箇所で「むにゃむにゃ」と聞き取れない言葉で誤魔化される事がある。本作で言えば顔の入れ替えがそれだ。もうどうしようもない程に説明不可。ありえない。体系の違いなど突っ込み所だけで辞書が出来る。しかし本作は、そういう非現実性を凌駕する映画的魅力がある。トラヴォルタの素晴らしき悪役像。ジョン・ウー印の粘着性スロー。そして、ハッとさせる鳩の登場。★★★★★★
タイタニックこの映画の素晴らしいのは、「沈む」という事象を描く際に、沈まんとする人間に焦点を合わせるのではなく、自らの決断として沈む運命を選んだ人間に焦点を合わせた点。そこには死と尊厳という明確なテーマがあり、それを語る際にロマンチシズムというフィルターを通す所のしなやかさ。そういった意味では、90年代の最も映画らしい映画。★★★★★★
真実の行方二重人格と犯罪を絡め、罪とは何かを問う。こんな雰囲気を全編に漂わせることで、本当の「真実」を煙に巻くシュールレアリスム。ギアの鼻の下の長さを隠れ蓑にしているとも言える。いずれにせよ、ドンデン返しの下準備を観客に悟らせずに遂行した展開力の巧みさは流石。法廷での理詰めの展開を蹂躙するかのような衝撃的な落ちは賛否両論だろうが、その出し抜かれたという感覚がやはり秀逸。★★★★★★
身代金誘拐という古典プロットを、まるで180度回転させるが如く広げきった脚本の巧みさと、チキンレースの様相を呈する誘拐劇に、更なる緊迫感を誘発させた、M・ギブソンとG・シニーズの迫真の演技が秀逸。取り分け、1時間24分44秒からの電話でのやり取りは映画史上最も恐ろしいテンションだ。あのようなテンションを捻出できるロン・ハワードはやはり大したものだと思う。★★★★★★
バウンドストーリーに余分な装飾は無く、手触りは極めて粗野だ。しかしながら、だからこそに染みる剥き出しのスリル感がプロットが無骨である答えを示す。ここでのウォシャウスキー兄弟は、徹頭徹尾スリル感を追求する。マトリックスでは、豊穣なバジットのもと技術発展の恩恵にあづかるが、ここに欲しい物が何でも手に入るドラえもんのポケットはない。だからこそ本作には、冷蔵庫の残り物で一品拵えてやるという気概が感じられるのだ。★★★★★★
スクリームその後無限増殖するティーンホラーのまさしく元祖。それまでのドンデン返しよりも更に入り組み、同時に強引になったという意味で少々理路整然性に欠けるきらいもあるが、しかし、この圧倒的なまでのスリル感。登場人物全てに死の可能性を享受させた公平性と、犯人側の恐ろしいほどの俊敏性。また、絶妙のタイミングで犯人をコケさせる生き延びる可能性のちらつかせ方。全てがエポックメイキングであった。★★★★★★
ザ・ロック文句無し。ブラッカイマーの最高到達点であり、ベイ式映画文法の完成を見た作品。3人の見せ場の見事なまでの分配。時代を捉えた敵役の正当性。ハンス・ジマーの旋律。そして、デビッド・モース、ジョン・スペンサー辺りの絶妙な位置関係。★★★★★★
ミッション:インポッシブルこの曲者ぶり。どの登場人物も胡散臭いが、何より、デ・パルマが良い意味で映画的に胡散臭い。悠然とノワール的な微妙に傾けたカメラアングルで歴史を回顧するかと思えば、CIA本部潜入ミッションにおける極限まで無音状態に近づけての緊張感。温泉宿でゲームセンターを見つけかのような心地よい意外性アバンギャルド。★★★★★★
ファーゴ雪原のロングショット、小市民を皮肉ったようなキャラクター造型、独特の突き放した語り口。まさに、コーエン節だ。F・マクドーマンドの日常描写と殺人現場を交互に配した構成も上手い。サスペンスというフォーマットで、「急」ではなく「緩」を意識する懐の深さが同監督の持ち味だろう。★★★★★★
カジノスコセイジの真骨頂。グッフェロの二番煎じだが、まだまだ味は濃厚だ。グッフォロのジョー・ペシは、その後のマフィア映画の在り方(或いは、ある意味のいてマフィアの在り方)を変えたと言っても過言ではないが、本作でもやはり「ペシ切れ」は面白いし怖い。グッフェロでペシに瞬殺されたフランク・ヴィンセントにキッチリそのPay offさせる演出も面白いですね。★★★★★★
12モンキーズアニメーションをそのまま実写にしたようなシュールでド派手なヴィジュアルに、適度に饒舌なメッセージ性。この映画のギリアムは、商業と芸術の相互に最小限の打算を要求しながら巧く同居させている。人間が「運命」というものを初めて正面から見つめたとき、そこには夢や希望といったロマンチズムとは乖離した人間の限界というものが見えてくる。そういうかくも厳しい現実を、アメコミのようなフォーマットに落し込むシニシズム★★★★★★
セブン地下鉄の騒音に一同が爆笑する際のフリーマンのクシャクシャの笑顔。地下鉄の振動にとっさにワイングラスを取る際、それがコップである事の驚きを感じ見つめ直すフリーマン。或いは、妊娠をフリーマンに告げるシーンにおける、「甘やかし育ててやれ」のフリーマンの言葉と、その際のパルトロウの崩れる表情。強烈な残酷描写の渦の中で凛と輝くこれら清々しいまでの幸福感が逆説的に終局の悲哀を引き立てているのだ。★★★★★★
リアリティ・バイツ傑作。危なっかしいが、だからこそにこの映画は圧倒的に面白い。先が見えないからこその不安と根拠の無い自信。ベテラン監督ならば、こねくり雲散霧消しそうなテーマだが、自然と湧き出るものを掬うだけで描けてしまう。この図太くもか細い現代的な空気感。まさしく90年代に相応しい時代感覚。イーサン・ホーク、ベン・スティラーも良いが、しかし、このウィノナの前では全てが霞む。★★★★★★
ショート・カッツ日常という範疇の中で躍動する非日常、劇中の誰もが偶然必然を介して、意外な所で繋がるという絡みに絡まったプロットを、群像劇の名匠アルトマンが丁寧に丁寧に解いてみせる。ポイントで日常の境界線を越えてみせるアルトマン一流の悪乗や、オブラート無しの際どいセリフが日常と非日常が表裏一体であるという事実を突きつける。★★★★★★
ギルバート・グレイプハルストレムの映画は総じて好きではないが、この映画だけは別格。ジョニー・デップの物凄い複雑性とディカプリオの深い深い単純性。この両極を通りすがりであるジュリエット・ルイスの一時的中和剤で混ぜ合わせる危うさ。或いは、メアリー・スティーンバーゲンの存在意義の複雑性。これだけ複雑なキャラクターを躍らせながら、極めて単純に見せる作劇の妙には感嘆せざるを得ない。参りました。★★★★★★
ジュラシック・パーク当時として最先端のCG技術は、昨今においては、それほどのものでもないのかもしれないが「ジョーズ」がそうであったように、今作も技術云々を超えた巧みさが見て取れる。取り分け、観客を安心させた所で恐竜と遭遇させる、悪趣味的な演出はまさにスピルバーグの真髄だろう。島へと向うシーンでの、得も言えぬ期待感を感じさせる音楽と映像のアンサンブルも忘れがたいインパクト。★★★★★★
カリートの道デ・パルマしてますね。デ・パルマ。デ・パルマ。監督のグレディットを観なくてもデ・パルマだと分かる。サングラスに映る殺し屋、極端な俯瞰にローアングル、ハンド・ヘルによる移動長回し、そして、オープニングと円還を成すラスト。巧いし機能的だ。ショーン・ペンの嫌味が面白い。或いは、ルイス・ガスマンの胡散臭さ。★★★★★★
二十日鼠と人間レニーとジョージのほのぼのテイストの描写がメインなのだが、随所に見え隠れする危険な臭いが見ている者に単なる良い話レベルの作品では無い事を悟らせる。ラストに今作の伝えたい事の全てが集約されていのだろうがあまりの衝撃にしばし呆然とする。まるで善悪の基準、倫理観、そして友情の定義などあらゆる既存の概念が打ち壊されたかのような衝撃である。純粋さが痛い忘れじの傑作。★★★★★★
バートン・フィンク粘着系の蒸し暑さから一転、ラストの驚愕の「熱さ」。コーエンらしい胡散臭い展開の妙。ノージャンル的な弛緩から、サスペンス的な重力を得て収束する手際の鮮やかさ。そのサスペンス的重力の源はグッドマンだ。彼の存在感ひとつで、強引にサスペンスへと引き込んでしまう。あの腹に一物を抱えているような面持ち。恐るべき役者力。タトゥーロのぐちゃぐちゃ感も良い。★★★★★★
JFK史実に推測の余地があるという事はその題材は無限の可能性を秘めていると言える。同時に、映画と現実は不可分の、相互に嵌入し合うような、曖昧な関係を保っており、完全に重ねることも、切り離すこともできないのだ。そういうフォーミュラを巧みに使い、真実と推測が二律背反を起こしながら同居するようなスリル感作り上げたオリバーの勝利。「プラトーン」で得た人気を御破算にする覚悟で、とことん描いた快作だ。★★★★★★
羊たちの沈黙殺人鬼のもうどうしようもない位のネガティブなエネルギーを、魅惑性をまとった全否定できないレベルへと導いたホプキンスとフォスターの距離感の勝利。縮めてはならないという前提の下、皮肉なほどに縮まる精神的距離感。しかし、決して「愛」と言わせない節度ある演出。そこに、峻厳でありながらもほのかに慈愛の香りがするというアイロニカルな空気感を充満させる懐の深さ。★★★★★★
推定無罪地に足が着いている。役者味を存分に生かした、全く以って安定感のある演出。恐らくパクラしか出来ないであろう深度の演出。R・ジュリアの独特のアクセントを弁護士の余裕綽々感へと変換させた発想の転換。本来なら弁護士には、スムーズで少々早口な役者を配したい所だが、その逆を突く巧さ。また、少々ペダンチックな弁護士中心のプロットで、雑草感溢れるスペンサーをポイントで光らしたバランス感覚。★★★★★★
ミシシッピー・バーニング虐げられて、痛めつけられて、「参りました」の一歩手前まで観客を追い込む容赦無い攻め。そして、そこからの「待ってました」と言わせるような爽快な逆転劇への転化。重いテーマを扱ってはいるが、やはり、この作品はキッチリと映画のあるべき「流れ」を享受している。そういうアラン・パーカーの映画的嗅覚は流石だと思う。加えて、ハックマン、デフォーのコンビの素晴らしさ。★★★★★★
ミッドナイト・ラン隣り合う死と開放感。その狭間をコメディ密度の濃い空気で満たすマーチン・ブレストらしい作劇。主題をさらに凝縮し、殆どエッセンスだけを取り出したような濃密なドタバタ劇だ。そして、ポイントで垣間見れる、抑圧や迷いに対する前向きな内なる声の発露。この「発露」こそ本作の至極。★★★★★★
ウォール街傑作。この時代でなければならない題材を、タイムリーに撮れるオリバーの映画的嗅覚はやはり優れていると思う。この作品は、87年でなければならない必然性を持っている。また、ダグラスの悪役造型の素晴らしさ。悪でありながらも、妙な説得力を兼ね備えている魅惑性。チャーリー・シーンの情けなさも良い。残念なのは、ダリル・ハンナの演技が余りに酷い点だが、それを差し引いても十分傑作と呼ぶに相応しい出来だと思う。★★★★★★
遠い夜明け前半に伝えたい事を集約させ、後半は亡命をメインとした脱出劇で見せるという二段構えの作品。前半はやはり重い。人種問題のコアとも言えるアパルトヘイトを圧倒的ダイナミズムで伝える。「これほどまでに、あの国の白人は理不尽なのか」そう思う一歩手前でドナルドが示す人としての進むべき道。その正しくも険しい道を、後半はエンタテイメントとして魅せる。まるで、抑圧された黒人が飛翔するかのように。★★★★★★
フルメタル・ジャケットこれは厳しいベトナム映画だ。それは、前半の狂気じみた教育シーンの「言葉」の厳しさであり、後半の殺しのシーンにおける「意識」の厳しさだ。で、ベトナムの描き方の異質ぶり。密林を捨て、猛暑を捨て、極めて整然とした空間で展開される銃撃戦。この辺りで、キューブリックが欲していたものが、ベトナムのリアリズムではなく、人間の内なる狂気のリアリズムだという事が分かる。それは、極めて厳しいリアリズムなのだが。★★★★★★
アンタッチャブルデ・パルマらしい亜流感を保ちながらも、娯楽大作としての風格も兼ね備えている傑作。例えば、主観ショットで暗殺を盛り上げる演出や、ラストのオマージュ的スローモーションでのシークエンスはデ・パルマらしい亜流感だ。しかしながら、時代感がしっかり染み込んだセットや、服装、車などの説得力は大作らしい風格を感じさせる。デ・ニーロのバットやエレベーター内での暗殺の「唐突感」が秀逸。★★★★★★
サルバドル 遥かなる日々ジャーナリズムの観点から言えば、結局「プラトーン」は20年前の話であり、その怒りさえも虚無感の渦の中に飲みこまれてしまうわけだが、当時としての現在進行形の惨状を描いた本作は、観客の抱く「怒り」そのものが米国の政策に対する痛切なメッセージとなったのだ。ストーンの強みは深刻なテーマをハリウッド流の娯楽映画の技術で描けるところにあり、今日におけるムーアとの差異もそこにある。所謂、映画らしい糾弾なのだ。★★★★★★
ダウン・バイ・ロー十字路の奥行き。湿原風景の幻想性。乾いた白黒映像に詩的で流麗なカメラワーク。シンボリックではあるが、痛切なリアリズムも損なわないシュールレアリスム。淡々と流れるようなスケッチのなかに秘やかな人情を絡めた洗練された演出。いがみ合う二人の会話の滑稽さと、そこに絡むベニーニの絶妙のボケ。トリオ漫才さながらのケミストリーが秀逸だ。ラストは、映画史に残る名シーン。★★★★★★
エイリアン2文句無し。このキャメロンの凄いところは、見せない演出で緊張感、恐怖感を高めたリドリー・スコットの映画文法を否定/超越したところ。出し惜しみ無しのリアリズム。エイリアンの動きを追求したという本人の言葉どおり、見せない演出など眼中にも無い。素晴らしき露出狂。「ジョーズ」から脈々と受け継がれてきた見せないが故の恐怖と決別し、技術の補完によって見せる恐怖を希求したのだ。★★★★★★
キリング・フィールドもはや戦場で人を殺すのに理由など無いのだろう、銃を持つ者のその瞬間の気分で生きるか死ぬかが決まってしまう恐ろしさ。そして、それに従うしかない戦場における非武装の民。今作、その武装しない男から見た戦争が味わえる。ただ、ひたすら許しを請い、そして全身で訴える。殺さないでくれと。ハイン・S・ニョールのその辺の表現は、もはや演技という枠を超えている。戦争の恐怖と圧倒的感動、この両方が詰まった傑作である。★★★★★★
インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説猿の脳味噌シャーベット、トロッコ、吊り橋崩壊、水が迫り来るシーン。強烈なインパクトを放つこれらのシーンが、それこそ幼少期に映画館で観た者にトラウマ一歩手前の素晴らしき思い出を授ける。それは、まるで自らの夢想であるかのような親近感だ。★★★★★★
アマデウスモーツァルトの数奇な半生を、サリエリの視点で見せた点が今作の上手い所。嫉妬と虚栄にまみれたサリエリに嫌悪を抱きながらも、悲しいかな自らの醜い部分の投影のようなその存在を全否定できないのである。まるで「人間とはそういうもの」と諭されているかのような感覚である。天才の半生を描きながら、凡人の本質を説くというストーリーが秀逸。★★★★★★
フラッシュダンスこの感覚!こういう自然と体が動き出す感覚。こういう感覚を生み出せるこの作品はやはり素晴らしいと思う。所謂MTVと同じ手法で、これが映画的か否かは分からないが、しかしやはりこの感覚。この感覚は何にも代え難い。ラストのダンスのカメラの横移動には鳥肌が立つ。そしてあの差し込む光の具合。「maniac」に乗せたダンスの首振りシーンの没頭感。これだけの勢いを減退させる事なく大胆に幕を下ろした潔さも特筆に価する。★★★★★★
スカーフェイス映像は、誇張されていながらも本能的で刹那的な感のあるエキゾティシズムを醸し出しながら、「栄枯盛衰」のみに特化した物語をエネルギッシュに映し出す。成り上がり男の荒れた心象を、センチメンタルに描くのではなく、沸々と燃え上がるような、デカダンスの破壊的美しさを投影するシュールレアリスム。時代感たっぷりのモロダーのシンセに、チェーンソー、ヘリ暗殺双眼鏡、リモコン爆弾等々、圧倒的なまでのケレンミ。★★★★★★
スター・ウォーズ ジェダイの復讐あの森の中の疾走感が未だ強烈な印象として残る。冒頭の浮遊した船上での落ちる落ちないのせめぎ合いも良い。レイア姫の秘密もサプライズとして機能しているし、ダース・ベーダーの素顔を見せてくれるサービス精神だって悪くない。個人的には二作目の尖った雰囲気が好きだが、本作の大団円には文句なしに感動。★★★★★★
遊星からの物体XどんなにCGが進歩しても超えられないアナログの恐怖。人対エイリアンを描いているフリをして、その実、強烈な人間の醜態を描くカーペンターの悪趣味が秀逸。それにしてもこの泥臭いテンション。冒頭のヘリコプターと犬の不可解さからラストまで、この映画の吸引力は凄まじい。★★★★★★
スター・ウォーズ 帝国の逆襲映画史に残るとも言える悪役ダース・ベーダーの存在感が確立した作品としての記憶している。あの登場音楽の威圧感と漆黒の外見の異様感。まさに、スターウォーズはダース・ベーダーの映画だったと言える。タップリと尺を取ったヨーダとの師弟の絆。或いは、人間代表ハン・ソロの人間らしい活躍。どれもがキメ細かく大胆に描かれている。傑作だと思う。★★★★★★
エイリアン恐ろしい。本当に恐ろしいまでの完成度だ。恐らくファーストコンタクトの34分24秒から、寸分の狂いも無くこの活劇を組み立てたのだろう。直接描写と間接描写。直線と曲線。整然と雑然。安定と不安。全てが絶妙に絡み合っている。スタントンが果てる際の猫のアップ。あの辺の感性がまさしくリドリー・スコット。イアン・ホルムの壊れたロボットの演技はどうだ。エイリアンの不気味ささえも優に凌ぐシュールレアリスム。★★★★★★
タクシードライバー恐ろしい程に饒舌なモヒカン。スコセイジは、髪型でその全ての怒りと憤りを表現。デ・ニーロが、狂気を凶器に狂喜する。シュレイダーの闇と病み。ハーマンの旋律の戦慄。社会の暗部に返り血を浴びながら肉薄したスコセッシの奮闘記。疲れるフィルムだが、この「疲れ」が堪らない。★★★★★★
エクソシスト文句無しに傑作。疑いの余地が無い。物凄い深度で人を掘り下げている。バースティンの複雑性、神父の複雑性。超自然を描くふりをして、信じれない程泥臭い現実を描いている。こういうバランス感覚こそフリードキンの映画人として最も優れている点なのだ。★★★★★★
フレンチ・コネクション哀愁、妄執、ボンジュール。法を守るべき男と法を犯す男の争いを描きながらも、その境界線はぐちゃぐちゃだ。もはや、善悪の定義など意味を成さない。この映画を支配しているのは人間の粘着性。電車の下を車で追いかけるしつこさ。車をバラバラに解体するしつこさ。白い粉を自動追尾する男の究極の公私混同。★★★★★★
ワイルドバンチ一見勢いだけの大雑把な作品に見えて、その実、物凄く的確かつ精密に演出されている。ペキンパーの演出は、初期の作品から物凄くキメ細かったけれど、ここでも「高低」の意識のさせ方、悠然とした移動撮影、カメラの角度などどれも素晴らしい。それはすなわち、空間造型力に長けているということ。所謂スローモーション(本作辺りから多用)や、ズームなど荒さを感じさせる演出も効果的だと思う。★★★★★★
続・夕陽のガンマンセメタリに辿りついたウォラックが疾走するシーンの荘厳な音楽を重ねた演出には落涙必至。THE GOOD,THE BAD,AND THE UGLYと言いながらも、どう見てもTHE BAD OR THE UGLYにしか見えないシニカルなキャラクタリゼーションが最高だ。本作の白眉は、完全にウォラック。イーストウッドとのどつき漫才系の関係が長尺の中盤をキッチリ締める。最後、イーストウッドにポンチョを纏わせるトリロジーを意識した演出が見れるのも嬉しい。★★★★★★
夕陽のガンマン善のイーストウッドと悪のボロンテの間を徘徊するかのような玉虫色のリー・ヴァン・クリーフが本作の白眉。猛禽類のような鋭利な面持ちと視線。独特の銃を構える所作。冒頭の聖書の読書と、傍若無人に汽車を止める様の善悪のコントラスト。イーストウッドに勝る銃の腕前を披露した初遭遇シーン。全てがヴァン・クリーフのための演出だ。拍子抜けしそうな中毒性ある効果音もいい。★★★★★★
奇跡の人本能のままに暴れまくる野生系ヘレンと、妄執にも似た粘着系信念の人サリバン。これら強烈なキャラクターと、アーサー・ペンの骨太な演出ががっぷり四つに組み合い生まれる有無を言わさぬ「力強さ」。ヘレンの新たな一歩が今まさに始まらんとする所で幕を閉じるシュールレアリスム。そして、そこからのイマジネイティヴな飛躍力は他に類を見ない。★★★★★★

Fayreal

Cinema Review Ver 3.0
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