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tsutsumismさん
Update:2004/11/9
tsutsumism@hotmail.com
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イギリスに在住し、しがない映画研究の傍ら日本映画界の発展を願って書く、書く、書くの毎日。基本的に好きな映画のみ書いていこうと思ってます。
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題名レビュー星の数
チョコレートこの映画の目を見張るのは、キャラクターをとことん客観的に描くこと、そして社会的なところからとことん個人的なレベルに下るというところ。我々観衆は一つの世界ではなく様々なことが同時に起きている様を実に客観的に見せられ、キャラクターの内面を見させてもらえない。壁まで透き通して見せる典型ハリウッドの視線とは違って新鮮。ただの白黒恋愛と言う事無かれ。アイスのように世界も個人もどろどろ溶け合っているのだ。★★★★★★★
ブラックホーク・ダウン近代戦争映画の金字塔だと思います。「敵無き戦争」そして戦地経験のない兵士達。そしてアメリカ軍の抱える矛盾。編集賞を取っただけあって、目を見張るものがあります。★★★★★★★
BROTHERこの作品は彼の中に眠る「マスキュリニティ(男らしさ)」が発露した一作。壊れかけた男らしさ。男は男の是認によってしか男になれない、というところから精神的ホモに対するジレンマとも葛藤する。男に眠る男らしさを映像でうまく表現してる。この映画で初めて北野の実験と商業との間のジレンマも見て取れる。タランティーノ作品と比べても実に面白い。山本は兄弟になりたかったのか?それとも父親なのか?★★★★★★★
ダンサー・イン・ザ・ダークこれもハリウッドとは一線を画する映画。目に付くのは映像、キメが粗くハンディカムで取っているかのようなカメラワークは人物の倒錯感すら表現しているように見える。織り込まれるミュージカルシーン以外は全て自然光のみで撮影しているようにも見える。映像としてはドラマ仕立ての中にリアリズムを垣間見ることができ、更に悲劇という暗さをも強調している。映像描写全体としてはイギリスのダイレクトシネマの手法に似ている。★★★★★★★
60セカンズ特定の目的のために集まったプロフェッショナルな男の集団というところに着目したい。「オーシャンズ11」のそれに似ている。がしかし、男の繋がりは強く、それ故に精神的ホモ社会に起こる女性の介入も強く描かれている。映像も素晴らしい。あるシーンでは、スピード感を生み出すために、初期のサイレント映画のように一秒1/24コマでなく1/16コマ(推測)にしているのではないだろうか。実験的なところも買える作品。★★★★★★★
グラディエーター映像やエンターテイメント性は言うまでもなく、良い。古代ローマにあって、主人公がただのマッチョではないところが目を見張る。家族に生きる将軍。明らかに現代の新男類として描かれている。常に家族を求める新皇帝ジェラスという罪(Sin)で身を滅ぼす。パートナーが黒人というハリウッド的配役も見所だ。古代の歴史映画の中に現代のジャンルとしての要素を取り入れそれがストーリーに上手く反映されたハイブリッドはさすが。★★★★★★★
地雷を踏んだらサヨウナラ邦画としての戦争映画としては傑作の部類ではないだろうか。ジャーナリズムとはそして日本人ジャーナリストが永遠に抱えるであろう立場と葛藤の集大成的な描写が多い。ただの戦争映画と言う事無かれ、この映画は報道と視覚芸術の狭間を描き、写真というビジュアル映像の持つ可能性、パワー、そしてそこに反映されるもの。どうしてあの写真がピューリツァ賞に輝いたのかを映画を離れて分析していみるのもまた一興であろう。★★★★★★★
菊次郎の夏常に映画で実験をしてくれる北野たけし。これは日記映画と呼んでもいいかもしれない。日記というのは人の記憶を記したもの。その映像は必ずしも現実世界のそれとは異なる。それを見事にシュールリアルに表現してくれている。記憶の中の夢このシーンは素晴らしい。ただこっけいと言うこと無かれ。この作品で彼は自らの記憶をも辿ったことだろう。★★★★★★★
マグノリア9つのストーリーライン、テーマは「人生起きそうもないことが起きる」であり、隠されたサブプロットに行き当たる、「懺悔、許し、そして死」である。編集技術もさることながら、内容の詰まったプロット構成・進行はさすが。3時間と長いが、最後まで時間を感じさせずに、最終解決も見る側におまえらが考えろと言わんばかりな終わりかた。ハリウッドの典型を破りつつエンターテイメント性は失っていない、秀作ですね。★★★★★★★
シン・レッド・ライン戦争映画を中立的に描いているのはこの映画だけなのではと思っている。対峙戦闘をする両軍どちらの描写を客観的な映像で伝えようとしている故。そしてそれがリアリズムのセンスを補完して余りある。完全に日常生活から逸脱した戦場、その異常な雰囲気をシュールリアルな深層心理的かつ夢描写的な映像をミックスさせることで一体何が真実か、正しいのかなんてことを観る者に投げかけ、かつその迷宮へといざなうのだ。★★★★★★★
ラン・ローラ・ランすごく実験的なところがいい。まず目につくプロット構成は枝分かれしているし、その分岐点にアニメーションが使用されていて観る者にキュー(合図)を与えてくれる。またそれによって実は妄想の世界なのではないかという印象も与えていて、映像も脳裏に断続的に浮かんでいるかのようにカットがはっきりしていて、写真の連続シャッターなどはその最たるものだろう。その編集力は「メメント」をも勝るとも劣らない仕上がりだ。★★★★★★★
ライフ・イズ・ビューティフルイタリアン・ネオリアリズムが見事にコメディタッチの中に見て取れる作品。監督本人が主演ということや、コメディタッチなどはチャップリンを彷彿とさせる。ドイツ語をイタリア語に訳す時にまったく違ったことを言っているシーン辺りは、言論の自由のささやかな抵抗とも受け取れるなど、深読みできるプロットに仕上がっている。唯一の映像的みどころはオフ画面の壁の間で銃声だけが聞こえるシーンは監督の力量が垣間見れる。★★★★★★★
タイタニック事実上の歴史的悲劇にラブロマンスを盛り込む、これが観衆の同情を引かずにいられようか。ただ単に世界的に歴史的な興行成績を上げたと言う事なかれ、この作品はフェミニストの発露を描いた作品であるとも見て取れる。女らしさの呪縛から金も地位も名声も捨て自らの意思で進んで抜け出そうとするその姿からだろう。最後に死んだジャックを海に沈めて置き去りにするのがフェミニズムの発露ならば、やっぱりフェミは好きじゃない。★★★★★★★
ライオン・キング ★★★★★★★
ソナチネかなり私的な分析だけども、流浪、ホモ社会、精神的ホモ、ホモ恐怖症、破滅、等々後の「Brother」の基となる作品のように思える。「3x4」「その男凶暴につき」などの荒々しい表向きな暴力は鳴りを潜め、より潜在意識の世界へと入っていく北野映画の第一歩。フィルターをカメラレンズに付けて昼のショットを夜のショットとして使っている辺り、予算がないのか、超現実感がむしろ出ていて実験色の濃い好きな北野映画の一つ。★★★★★★★
ピアノ・レッスン「タイタニック」と同じく19世紀にして、当時のフェミニズムの発露と見てもいいのではないだろうか。喋れない=発言権無し、と受け取れるし、夫が家を封鎖するなどは女性を家庭へと押し込める家父長制の象徴のようだ。ピアノはいわゆる彼女の自由と伴に、女性としてのアイデンティティであり、それを弾く様はどうしても自慰行為に映るのは自分だけか。タイタニック同様最後に海に落ちるという行為が何か暗示しているのか。★★★★★★★
あの夏、いちばん静かな海。かなり個人的な好みでの評価ですが、こういう実験映画的といか前衛的な北野たけしの姿勢が大好きです。聴覚による情報量をとことん押さえ、視覚による情報量を「北野の視点」でこれでもかと与えてくれます。写真という静止画効果を動く絵という映画の中で、この辺りにも脱帽でした。。「菊次郎」が日記映画ならこれはさしずめポエム映画でしょう。北野映画純愛系としての第一作ですね。★★★★★★★
恋人たちの予感「プリティウーマン」よりも以前に製作されているところに大きな意義を感じる作品。サリーは当時のフェミニストの雰囲気を持っていて、ハリーは最初コテコテの古いタイプの男。11年という歳月が流れる中でサリーではなく彼が新しい男像へと変貌していく。ところどころに挿入される老夫婦の思い出話がそれとよくコントラストされていて非常にわかりやすい。男にとって女とは、女にとって男とはなんぞや?と投げかけてくる一作。★★★★★★★
プラトーン非常にセクシャルな戦争映画。戦場という男社会の中に存在する内面的な「女性」がよく描かれている。父系社会の中で必ず母親的な存在が不可欠な軍隊。テイラーは上官二人の間の子供のような存在だったと自白するがその通り。戦場での母は殺され、彼は戦場での父を殺すのだ。まさにオエディプス。戦場を描写するにつけ、心理的な要素として色がとてもうまく使われているのには脱帽。性的描写に意識を向けて見ると傑作です。★★★★★★★
戦場のメリークリスマス非常に前衛的な映画。ホモセクシャルを戦場特有の精神的なものだけでなくそれが表に発露させた大島監督の挑戦と偉大さはそこにある。メイクなどを見るとドイツの印象派映画を彷彿とさせられる。倒錯する男らしさの描写などは北野映画にもこの映画の影響を見て取ることも可能かもしれない。更に大島監督特有のシュールリアルな映像化も見逃せない、そしてそれがノスタルジックを映像を通して観客に投げかけてくる。匠の業です。★★★★★★★
E.T.映画で観衆を感動させるという要素をこれでもかと挿入したスピルバーグの最高傑作のうちのひとつでしょう。ファミリーアドベンチャージャンルの先駆けと言うにふさわしい作品。E.T.は父親的役割を持っているということは誰が言ったのでしょう?ここにあらゆる観衆をひきつけるマジックが存在するのです!★★★★★★★
ジョーズ自然の猛威に曝されるいわゆる現代で言われている「ディザスター」ジャンル映画の先駆け。当時のハリウッド映画制作や配給、上映方法、宣伝やタイアップ、マーチャンダイズと良かれ悪しかれハリウッドを商業主義へと導き映画のあり方の根本を変えてしまった作品でもあり、「イベント映画」と呼ばれる興行主義に導いたいわくの作品。それにしても、観る者を引き込むあのテンションの作り具合はスピルバーグに座布団一枚!★★★★★★★
明日に向って撃て!これほど実験的でエンターテイメントをも兼ね備えた作品はそうそうない。最終シーンは北野の「Brother」にも似ている。男の強い繋がりの中に、女性が割ってはいるという三角関係をプロットに強く盛り込むようになったのはこの作品以降ではないだろうか。写真の挿入、セピア色の使い方、そして望遠レンズの多用による接写、など等目を見張るところが多い。ただ豪華キャストと言う事なかれ、当時売れたのはそのためだけではない。★★★★★★★
卒業1967年という年にいかにこの映画がセンセーショナルだったかということがよく分かる。ロビンソン夫人に誘惑されるシーンなどは絵がいかに彼が無力かを十二分に語ってくれるし、当時のポップミュージックをサントラとして使っていることで当時の雰囲気が今見てもなお伝わってくる。性的な描写などは当時のセンサーシップと真っ向から対峙し、当時の若者観衆にターゲットを当てた典型的な作品とも言える。ホフマンの声は大好き。★★★★★★★
俺たちに明日はないこれこそが60年代後半からのハリウッドの低迷を救った作品といえよう。稚拙な暴力は我々の不安感や同情を引き、その描写は今までのハリウッドにはなかったもの。映画に新たな可能性を示した作品。まるで銃を男らしさの象徴のように扱うその様はセックス不全とのコントラストが衝撃的。最後の二人の顔のモンタージュ的な編集には鳥肌が立つ。ただの実話と言う事なかれ、観衆が30年代の郷愁を求めていたこともまた事実なのだ。★★★★★★★
サイコスラッシャーやホラー映画の先駆とされているヒッチコックの実験的映画。TVクルーを使い低予算でどれだけできるか。主人公と思われる人物が当時としては非常に衝撃的な描写と方法で殺められる、当時観衆のショックは計り知れないだろう。窃視の感覚を映像化するその卓越さもさることながら、ベーツのキャラクターを見て男性の女性化、ホモセクシャルの発露などそういう議論もされた映画。どこまで偉大かな、巨匠ヒッチコック。★★★★★★★
裏窓この作品は一にも、二にも、Voyeurism、窃視にある。演劇舞台設定に近い中でこの時代にロールカーテンを使い、幕開けと伴にそこからの外界は誰の知るところでもなく、我々の想像と窃視が全て。まさしく、Off−Screenの扱いにも長けている。覗きということなかれ、途中から女性を窃視する様、ひとカットひとカットにありとあらゆるみどころが詰まっている、フェミニスト泣かせの巨匠の業である。★★★★★★★
七人の侍ただの侍映画ではない。プロットには家族や恋愛というテーマが織り込まれており、なるほどハリウッドで受けるわけだ。54年という時代にロングレンズで接写を撮りキャラクターを描写する様、印象的なスローモーション、マルチカメラでの戦闘シーン、そして全体の編集。後は一つ一つの絵の構図がすばらしい。全てが緻密に計算されているように思う。菊千代を階級の間に立て、彼から男らしさ等の心理分析をするのも面白い。★★★★★★★
自転車泥棒デ・シーカの最高傑作ともいえる作品。社会性、政治性を映画に取り込みイタリアのネオリアリズムの代表作とも言えるだろう。戦後の下層階級の悲哀と絶望の中に見つける一掴みのぬくもり。映画の最終解決にこれほどまでに曖昧さを観る者に与える終わり方は目をみはるものがある。ただ単に悲劇と言うことなかれ、厳しい現実をまざまざと見せつけながら何かをデ・シーカは語りかけている。★★★★★★★
市民ケーンまさにクラシックハリウッドの常識を根底から覆した作品。フラッシュバックの多用による物語(プロット)構成。ニュースリールのシーンなんかは日本でも多用されるようになったスタイル。なんと言ってもカメラワークは驚愕にすら値する。あの時代にあんなに綺麗で壮大なディープフォーカスのショットを取ったオーソンウェルズはやはり巨匠です。★★★★★★★
戦艦ポチョムキン評価するのは恐れ多いが、サイレントの時代にこれほどまでに強烈な視覚的インパクトのある映像、解説は出るものの映像のみで十分に心を揺さぶられる。モンタージュは言うまでもないが、表現主義的、象徴主義的なモンタージュによる映像は力強く、モンタージュは1+1=3にも4にもなる可能性を示してくれる。素晴らしい。前衛のさらに前衛映画とされるのもうなずける。★★★★★★★
Dolls ドールズBrother後北野の振り子がメディア人から自身個人的な色の実験映画と語るようにパーソナルな映画へ振れた作品であろう。リアリズム追求の北野ブルーから脱皮し、色使いからシュールリアルな世界を描こうとしている。人形の視点という発想の転換などは並みの映画監督ではできない冒険であろう。自身の恋愛感、経験を盛り込んだこの作品はまさに個人映画であり、エンターテイメント性を語るのは愚の骨頂であろう。★★★★★★
ワンス・アンド・フォーエバーメルギブソンが引き受けた所以がわかる作品。「ブレイブハート」など戦争に対する彼の立場と役者としてのペルソナと一致する。今までのベトナム映画は全て偽りでこの作品こそが、と彼は言っていたが、彼の純然たる愛国精神もまたそのまま映画に反映されている辺りはそれほど中立的には描かれていない。日系兵士がナパーム弾で全身焼け爛れる姿は、何ゆえ唯一登場する日系兵士である必要があったのだろう。ちとそのへん粗いよね。★★★★★★
ウインドトーカーズ北野たけしとよく比べられるジョン・ウー。DVDの特典では彼はリアルな戦場を描きたかったと述べている。CGを嫌い爆薬を実際に使うことでそのリアルさと映像としてのインパクトを出しているには納得。どうせリアルを追求するならば、カメラワークをもう少し荒くすれば良かったのではないか。スムーズ過ぎる。映像のエンタメとしては彼の右に出るアジア映画家はいないであろうことを証明する一作。ケイジとのコンビは大好き。★★★★★★
ニューヨークの恋人ポストフェミニスト映画と言っていいのではないか。広告会社、キャリアウーマン、社会的地位を手に入れきった女性が19世紀の男性と出会う。その彼にはまだ壊れていない古きよき「男らしさ」が残っていた。最終的に昇格人事を蹴ってまで・・・というところが10年前だったら共感すら呼ばないプロットだったに違いない。よって、「ハートオブウーマン」を見てからこの映画を見るとより楽しめるのではないだろうか。★★★★★★
ザ・ダイバーこの邦題に問題あり。原題は「Men of Honor」なのに。中心に描かれるはコテコテかもしれませんが、男の名誉と栄誉。これなくしてどう男のアイデンティティが保てるのか?!というのを強烈に投げかけてくれる作品。この邦題とのギャップで期待と内容がうまく合わなくてがっかりした人も多かったのでは。見るべきは男のつながり、精神的ホモの世界です。★★★★★★
JSAなんといっても男のホモ社会がうまく描かれてるところかな。これが上手く描かれてるからストーリーにうまく悲哀が映える。一つ言っておきたいこと、それは調査のために立ち入るのが女性ってこと。神聖な男の繋がりの間に割ってはいる女性。そして男達は結局皆Fucked up。こんな男女の構図をこの映画で語るのも面白いと思います。★★★★★★
グリーン・デスティニー心理分析的に見ると非常に面白い。剣を取り巻くストーリーだが、その剣を巡る争奪戦は人間関係(三角関係)をもシンクロさせることもできるだろう。剣は男性性器の象徴と捕らえるとさらに面白い。グリーンデスティニーと呼ばれる剣を指でなでるシーンが多い中、 女性同士の戦いの際、一人がその動作をするともう一人はその動作をジェラシーとも受け取れるような制止をする。これはまさしく剣(男)を巡る争いとも受け取れるのだ。★★★★★★
U-571この映画は緻密に研究された時代背景の設定とそれの基づく小道具の繊細さに目を見張るものがあった。当時潜水艦に従事するのはほとんどが若者であり、生還か死かどちらかという世界の緊張感を時代考証と閉塞的な潜水艦内部で見せてくれる。水圧による恐怖、当時の技術でどこまで潜水できるのかなどその辺りの情報の付与があればよりリアリティを持って深海のテンションを楽しめたかもしれない。若いお父さんは大変です。★★★★★★
大いなる遺産晩年のディケンズの作品の再映画化。これを自分はネオフィルムノアール(暗黒映画)として捉えたい。エステラのキャラクターは、日本では未公開だが「The Last Seduction(甘い毒)1994年」の主人公ブリジットを彷彿とさせる。男性主人公を甘い誘惑で破滅に導く悪女でもあり、またベアトリーチェ的な像も併せ持っているのが象徴的。映像は絵画を扱うこともあってか、シュールリアル。独特の繊細な色使いも着目点だろう。★★★★★★
おもひでぽろぽろテーマにファンタジーとアドベンチャーが無いところに宮崎駿主導ではない作品であることが伺える。いわゆるアダルト観衆をターゲットにした作品。自分らしさの発露、つまりかカミングエイジとも言えるだろう。小学5年生の出来事がいかに自分を抑圧してしまったかを辿るストーリー構成は中々。思い出と現実シーンが交錯するところも見所。アニメーションは3次元の感覚を強調する努力の跡が見られる。男性像への解放も見所だ。★★★★★★
マルタの鷹ボガートの役者としてのペルソナを作り上げたと言っても過言ではない作品。彼のニヒルで暴力的と同時にセンチメンタルな部分も見せる、こういう役どころが当時スターのイメージともなる程そのインパクトはある。後の暗黒映画(フィルムノアール)の先駆けともいえる内容も持っている。刑事などではなく、私立探偵という設定も中々見所。夜空に照らされ人影が間延びするその映像と棘のアル美女、ジャンルを刷新した秀作。★★★★★★
コレリ大尉のマンドリンまさに小説を読んでいるというのがそのまま当てはまる作品。編集は緩やかで、複雑なカットは後半唯一の戦闘シーンのみ。一つだけ寂しかったのはニコラスケイジの演技、表情にいつもの躍動感がなかったこと。そこが見る物にとっては彼の心理描写を不透明にしています。それが狙いかもしれませんが。★★★★★
スターリングラード映像のエンターテイメントとリアリズムとの間に揺れた映画だろう。もう少しどちらかの色を濃くしたらより映像力が増した作品だと思う。スナイパーシーンなどは編集がかなりはやく緊張感を出すのかじっと耐えるスナイパーの心情を強調したいのかがやや曖昧。演劇調な演技はジョセフファインズに「恋に落ちたシェークスピア」を重ねすぎだろうか。「パールハーバー」が欲張りすぎたのなら、これはやや映像に曖昧すぎた感がある。★★★★★
失楽園ここまで人間の心理描写がうまく精巧に描かれている日本映画はそうそうないですよ。普通であれば簡単に動機付けされてしまうところを実に細々と丁寧に表現してて関心しました。それを表現する洗練されたカットや絵の美的さと、そこにある人間の貪欲さが混じりあい、精神的高揚を覚えずにはいられないでしょう。秀作。★★★★★
パールハーバーエスニックな描き方はさて置いても、この映画は欲張りすぎた映画であろう。多様なポピュラージャンルの融合を図ったのだろうが、スピルバーグやルーカスほどの手腕は見当たらない、逆にジャンルの持つ良さが相殺されてしまっている感が否めないのも事実。日本版に米劇場版にはない日本パイロットの「逃げろ!」の台詞を入れた辺り、製作者サイドがアメリカよりの視点に立っているエンターテイメント映画であることを物語る。★★★★

Fayreal

Cinema Review Ver 3.0
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